テナント店舗や賃貸オフィスへ防犯カメラを設置する場合、自社所有の建物とは確認する順番が異なります。
室内にカメラを取り付けるだけでも、壁や天井への穴あけ、天井裏への配線、外壁への固定などが発生すれば、管理会社やビルオーナーへの確認が必要になります。
さらに、入口の外側や共用廊下を撮影する場合は、工事だけでなく撮影範囲についても確認が必要です。
また、設置時だけでなく、退去・移転時のカメラ撤去、配線処理、穴あけ箇所の原状回復まで考えておかないと、後から追加費用や工事が発生することがあります。
この記事では、テナント店舗・賃貸オフィスへ防犯カメラを設置する法人担当者向けに、次のポイントを整理します。
- 管理会社・ビルオーナーへ何を確認するか
- 専有部と共用部をどう分けて考えるか
- A工事・B工事・C工事をどう確認するか
- 穴あけ・配線・外壁固定で何が問題になるか
- 退去時の撤去と原状回復をどう考えるか
- 設置業者へ何を伝えるか
防犯カメラは、事件やトラブルを完全に防ぐ設備ではありません。映像の記録や抑止を目的として、必要な撮影範囲と運用方法を決めることが重要です。
※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。掲載内容は執筆時点の情報をもとにしています。工事の可否、承諾の要否、工事区分、原状回復の範囲は、賃貸借契約、管理規約、建物条件、管理会社・オーナーの判断によって異なります。導入前に契約内容と管理側の条件をご確認ください。
結論|テナントの防犯カメラは「設置場所→承諾→工事条件」の順で確認する
テナント店舗・賃貸オフィスでは、最初からカメラの機種や台数を決めるのではなく、次の順番で整理します。
- カメラを設置したい場所を決める
- 専有部か共用部かを確認する
- 壁・天井・外壁への加工が必要か確認する
- 管理会社・オーナーへ承諾範囲を確認する
- ビルの工事区分と指定業者の有無を確認する
- 施工業者に現地条件を確認してもらう
- 退去時の撤去・原状回復まで確認する
特に重要なのが、「自社が借りている専有部だから自由に工事できる」と考えないことです。
専有部内でも、建物本体への穴あけ、天井裏への配線、共用設備との接続などが関係すると、管理側への申請や承諾が必要になることがあります。
まずは設置候補を決め、その位置にどのような工事が必要になるかを確認してください。
最初に「専有部・共用部・建物本体」を分けて考える
同じ防犯カメラでも、設置位置によって確認する相手と工事条件が変わります。
| 設置候補 | 主に確認すること |
|---|---|
| 執務室・店内 | 壁や天井への固定、配線、原状回復 |
| 受付・入口内側 | 共用部への映り込み、配線ルート |
| 入口外側 | 共用部への設置可否、撮影範囲 |
| 外壁・軒下 | 建物本体への固定、防水、高所作業 |
| 共用廊下 | 管理会社・オーナーの承諾 |
| サーバールーム・書庫 | 撮影目的、録画管理、閲覧権限 |
| 駐車場・搬入口 | 電源、配線、屋外工事、管理区分 |
最初に平面図や見取り図へ設置候補を書き込み、
- 専有部の中だけで完結する場所
- 建物本体への加工が必要な場所
- 共用部に関係する場所
の3つに分けます。
この整理ができると、管理会社への確認内容と、防犯カメラ業者へ相談する内容を分けられます。
管理会社・ビルオーナーへ確認すること
管理会社へ「防犯カメラを設置したい」とだけ伝えても、工事可否を判断できないことがあります。
できる範囲で設置計画を整理してから相談してください。
確認する項目は次のとおりです。
- カメラの設置予定位置
- おおよその台数
- 壁・天井への穴あけの有無
- 天井裏へ配線する予定があるか
- 外壁や軒下へ固定する予定があるか
- 共用部を配線が通るか
- 共用電源を使用する可能性があるか
- 工事可能な曜日・時間帯
- 工事申請が必要か
- 指定業者による工事が必要か
- 退去時に撤去する範囲
- 原状回復の条件
ビルによっては、工事申請書、施工図、工程表、作業員情報などの提出を求められることがあります。
必要な書類や提出期限を管理会社へ確認し、施工業者にも共有してください。
工事区分はビルごとのルールを確認する
オフィスビルやテナントビルでは、工事をA工事・B工事・C工事などに分けて管理することがあります。
ただし、この区分はすべての建物で同じ内容ではありません。
名称が同じでも、どの工事をA・B・Cのどこへ分類するか、誰が発注するか、費用を誰が負担するかは、ビルごとの工事区分表や管理規約によって確認する必要があります。
一般的な整理例は次のとおりです。
| 区分 | 一般的な考え方 |
|---|---|
| A工事 | オーナー側が発注・負担する建物本体や共用設備の工事 |
| B工事 | テナントの要望に基づき、オーナー側や指定業者が施工し、テナントが費用を負担する工事 |
| C工事 | テナント側が施工業者を選び、テナント負担で行う専有部中心の工事 |
防犯カメラでは、専有部内の設置がC工事として扱われても、共用部を通る配線や建物本体への加工が別区分になることがあります。
そのため、「カメラ設置はC工事だから自由に業者を選べる」と最初から判断せず、次の点を管理会社へ確認してください。
- 防犯カメラ設置はどの工事区分になるか
- カメラ本体と配線工事で区分が分かれるか
- 指定業者を利用する必要があるか
- 共用部への配線は誰が施工するか
- 外壁への固定は認められているか
工事区分が分かると、どこまで自社で施工業者を選べるのかも明確になります。
設置場所、配線ルート、電源、建物側の工事条件は、現地を確認しないと判断できない項目があります。
自社の物件条件に対応できる防犯カメラ業者を探したい場合は、希望する設置場所と管理会社から確認した条件を伝えたうえで、施工業者の紹介を受ける方法もあります。問い合わせ後、希望条件を確認するための電話連絡が入ることがあります。
穴あけ・天井裏配線・外壁固定で確認すること
テナント・賃貸オフィスでは、防犯カメラ本体より「どう取り付けるか」が工事上の問題になることがあります。
壁・天井への穴あけ
カメラを固定するために、壁や天井へビス穴を開けることがあります。
確認するのは次の項目です。
- 穴あけが認められている場所か
- 施工前の承諾が必要か
- 退去時に補修が必要か
- 補修範囲を誰が判断するか
- 既存設備や防火区画への影響がないか
原状回復に関係するため、「小さな穴だから問題ない」と自己判断せず、契約条件と管理側のルールを確認してください。
天井裏・壁内への配線
配線を目立たせないために、天井裏や壁内へLANケーブルや電源配線を通すことがあります。
ただし、天井裏には電気設備、空調設備、消防設備などが設置されていることがあります。
どこを通せるかは現場条件によって変わるため、施工前に配線ルートを確認します。
外壁・軒下への設置
店舗入口、建物外周、軒下などへカメラを取り付ける場合は、建物本体への固定が関係します。
確認する項目は次のとおりです。
- 外壁への固定が認められているか
- 穴あけが必要か
- 防水処理が必要か
- 高所作業が必要か
- 電源をどこから取るか
- 配線をどこへ通すか
外壁や共用部が関係する設置は、専有部内の工事より管理側との調整項目が増えます。
テナント店舗で優先する設置場所
テナント店舗では、来店客、従業員、商品、現金など、確認する対象が複数あります。
主な設置候補は次のとおりです。
- 店舗出入口
- レジ周辺
- 売場
- バックヤード
- 商品保管場所
- 搬入口
- 裏口
すべての場所へ均等に設置するのではなく、「何を記録したいか」から優先順位を決めます。
たとえば、来店者の出入りを確認するなら入口、現金管理ならレジ周辺、商品の持ち出しを確認するならバックヤードや搬出動線が優先されます。
ただし、カメラの撮影範囲が共用廊下や隣接テナントまで広がる場合は、画角を調整してください。
賃貸オフィスで優先する設置場所
賃貸オフィスでは、店舗とは管理対象が異なります。
主な設置候補は次のとおりです。
- エントランス・受付
- オフィス出入口
- サーバールーム
- 書庫
- 重要設備周辺
- 備品保管場所
執務スペース全体を広く撮影するより、入退室や重要設備へのアクセスなど、設置目的に関係する場所へ範囲を絞ることが重要です。
従業員が映る環境では、撮影目的を明確にし、録画映像を誰が確認するのか、どの程度保存するのかも決めておきます。
撮影範囲と録画映像の管理を決める
テナント店舗や賃貸オフィスでは、自社の従業員や来訪者だけでなく、共用部を通る人や他テナントの利用者が映ることがあります。
必要以上に広い範囲を撮影しないよう、設置位置と画角を確認してください。
運用前には次の項目を決めます。
- 防犯カメラを設置する目的
- 撮影する場所
- 撮影対象から外す場所
- 録画映像を確認できる担当者
- 保存期間
- 映像を書き出す際の手順
- 退職・異動時の閲覧権限変更
特定の個人を識別できる映像を取得・管理する場合は、利用目的と映像データの管理方法を整理することが重要です。
設置位置だけでなく、運用開始後の管理体制まで決めてください。
原状回復と退去時の撤去を導入前に確認する
賃貸物件では、防犯カメラを設置するときだけでなく、退去するときの対応も考えておく必要があります。
確認する項目は次のとおりです。
- カメラ本体を撤去するか
- 固定金具を撤去するか
- LANケーブルや電源配線を撤去するか
- 配管を残置できるか
- 穴あけ箇所を補修するか
- 録画機器を移転先へ持ち出すか
- 撤去工事を指定業者が行う必要があるか
特に、移転予定がある企業では、現在使用しているカメラや録画機器を新しいオフィスで再利用できるかも確認しておくと、移転時の判断材料になります。
防犯カメラを設置するときの見積もりだけでなく、撤去、配線処理、原状回復まで含めて確認しておくことが重要です。
工事日程とビル側の申請期限を確認する
テナント店舗や賃貸オフィスでは、希望する日に自由に工事できるとは限りません。
ビルによっては工事可能な曜日や時間帯が決められています。
確認する項目は次のとおりです。
- 工事可能な曜日
- 工事可能な時間
- 夜間・休日工事の可否
- 工事申請の提出期限
- 共用部作業の立ち会い
- 搬入経路
- エレベーター利用のルール
- 養生の必要範囲
- 作業音への制限
開店日やオフィス移転日に合わせて防犯カメラを稼働させたい場合は、工事日だけでなく、管理会社への申請期間も含めて逆算します。
業者へ相談する前に整理すること
テナント・賃貸オフィスへの防犯カメラ設置では、施工業者へ次の情報を伝えます。
- 物件の種類
- 設置したい場所
- おおよその台数
- 専有部・共用部の区分
- 管理会社へ確認済みの内容
- 穴あけの可否
- 天井裏配線の可否
- 外壁工事の可否
- 指定業者の有無
- 工事区分
- 希望する録画期間
- 遠隔確認の必要性
- 工事可能な曜日・時間
- 導入希望時期
この時点ですべてを決めておく必要はありません。
「分からない項目」を明確にしておくことで、現地調査で確認する内容を整理できます。
よくある質問
Q.テナントや賃貸オフィスでも防犯カメラを設置できますか?
設置可能な物件はあります。ただし、設置場所、固定方法、配線ルートによって管理会社やオーナーへの承諾が必要になります。まず賃貸借契約や管理規約を確認し、工事内容を管理側へ相談してください。
Q.専有部なら自由に防犯カメラを設置できますか?
専有部でも、壁や天井への穴あけ、建物設備への接続、共用部を通る配線などが関係すると、事前確認が必要になることがあります。専有部かどうかだけでなく、工事内容まで確認してください。
Q.A工事・B工事・C工事のどれになりますか?
工事区分はビルごとに異なります。専有部内の工事がC工事として扱われることはありますが、配線や外壁工事が別区分になることもあります。管理会社から工事区分表を確認してください。
Q.退去時に防犯カメラを撤去する必要がありますか?
契約内容や管理側との取り決めによります。カメラ本体だけでなく、配線、固定金具、穴あけ箇所まで撤去・補修対象になるかを導入前に確認してください。
Q.従業員が映る場所へ設置しても問題ありませんか?
従業員が映ることだけで一律に設置できないわけではありませんが、撮影目的と範囲を明確にし、映像の利用目的、閲覧者、保存期間などを決めて運用することが重要です。
まとめ|テナントの防犯カメラは管理側と施工業者の確認を分けて進める
テナント店舗・賃貸オフィスへ防犯カメラを設置するときは、機種や台数を決める前に建物側の条件を確認します。
進め方は次のとおりです。
- カメラの設置候補を決める
- 専有部・共用部・建物本体を分ける
- 穴あけ・配線・外壁工事の有無を確認する
- 管理会社・オーナーへ承諾範囲を確認する
- 工事区分と指定業者の有無を確認する
- 施工業者に現地条件を確認してもらう
- 退去時の撤去と原状回復まで確認する
特にテナント物件では、「どこに付けたいか」だけでなく、「どのように固定し、どこへ配線するか」によって工事条件が変わります。
次にすること
まずは平面図や見取り図へ、カメラを設置したい場所を書き出してください。
次に、その場所を「専有部内」「共用部に関係する」「建物本体への加工が必要」の3つに分け、管理会社へ確認する項目を整理します。
管理会社から工事条件を確認できたら、その内容を施工業者へ伝え、現地調査で設置位置、配線ルート、電源、録画方法を確認します。
テナント・賃貸オフィスの条件に対応できる施工業者を探したい場合は、希望条件を伝えたうえで業者紹介を受ける方法もあります。問い合わせ後、希望条件を確認するための電話連絡が入ることがあります。
法人防犯カメラナビ|法人向け防犯カメラの導入・比較ガイド


