オフィスへ防犯カメラを設置するときは、店舗や倉庫とは異なる視点が必要です。
来訪者が出入りする受付、従業員が働く執務エリア、契約書などを保管する書庫、情報機器を設置するサーバー室では、それぞれ防犯カメラに求める役割が異なります。
さらに、従業員が映る場所では撮影目的や映像の管理方法を決める必要があり、テナントオフィスでは壁・天井への固定や配線工事について管理会社への確認が必要になることもあります。
この記事では、オフィスへの防犯カメラ導入を任された総務・管理部門の担当者向けに、次のポイントを整理します。
- オフィスで優先する設置場所
- 必要台数を考える順番
- 入退室管理との役割分担
- サーバー室・書庫の撮影方法
- 従業員が映る場所で決める運用ルール
- テナントオフィスの工事条件
- 費用が変わる要因
- 社内稟議で整理する項目
防犯カメラは、侵入や盗難、内部不正を完全に防ぐ設備ではありません。映像の記録と抑止を目的として、施錠、入退室管理、アクセス権限、社内ルールなどと組み合わせて運用することが重要です。
※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。掲載内容は執筆時点の情報をもとにしています。実際の設置可否、工事内容、費用、録画期間、対応範囲は、建物条件、テナント契約、ネットワーク環境、運用方針によって異なります。導入前に現地調査や施工業者の提案内容をご確認ください。
結論|オフィスは「守る対象→設置場所→運用ルール」の順で決める
オフィスへ防犯カメラを導入するときは、最初から機種や台数を決める必要はありません。
次の順番で整理します。
- 何を守るために設置するのか決める
- 優先して記録する場所を決める
- 必要な画角から台数を考える
- 入退室管理や施錠との役割を分ける
- 録画映像の保存・閲覧ルールを決める
- 配線や電源などの工事条件を確認する
たとえば、「来訪者を記録したい」という目的なら受付や出入口が優先です。
一方、「サーバー室への入室を確認したい」のであれば、室内全体を撮影するより、出入口と入退室管理の記録を組み合わせる方法を検討します。
従業員による備品や物品の持ち出しが課題なら、執務室全体を広く撮影するのではなく、保管場所や搬出動線を中心に考えます。
目的によって必要な場所が変わるため、オフィス全体を均等に撮影する必要はありません。
オフィスで優先する防犯カメラの設置場所
オフィスでは、「人が出入りする場所」と「重要な資産・情報がある場所」を中心に設置候補を決めます。
| 設置場所 | 主な目的 | 優先度の目安 |
|---|---|---|
| エントランス・受付 | 来訪者、入退館の記録 | 高 |
| オフィス出入口 | 従業員・関係者の出入り確認 | 高 |
| サーバー室入口 | 情報設備への入室記録 | 高 |
| 書庫・重要書類保管場所 | 書類・情報資産へのアクセス確認 | 中~高 |
| 備品・機器保管場所 | 物品の出入り確認 | 中~高 |
| 廊下・動線 | 人の移動やトラブル時の状況確認 | 中 |
| 執務エリア | 設置目的に応じて検討 | 目的による |
エントランス・受付
エントランスや受付は、来訪者、配送業者、取引先などが出入りする場所です。
誰がオフィスへ入ったのかを記録する目的で、優先度が高い設置場所です。
設置時には、入口全体を広く映すだけでなく、確認したい対象を決めます。
人物を確認したいのか、出入りの時刻を確認したいのかによって、必要な画角が変わります。
ガラス扉や大きな窓がある受付では、屋外と室内の明るさの差によって人物が暗く映ることもあるため、設置位置や逆光への対応も確認してください。
オフィス出入口
執務エリアへの出入口は、従業員や関係者の動線を確認する場所です。
オフィス全体を撮影するより、出入口を記録することで、必要以上に執務スペースを映さずに人の出入りを確認できる構成も検討できます。
複数の出入口がある場合は、正面入口だけでなく、非常口や通用口など通常利用している動線も確認します。
サーバー室・重要設備周辺
サーバー室、ネットワーク機器室、重要設備室などは、防犯カメラ単体ではなく入退室管理と組み合わせて考えます。
防犯カメラは「誰がどのように出入りしたかを映像で確認する役割」、入退室管理は「誰がいつ入室したかを記録し、入れる人を制限する役割」です。
両方を利用することで、必要なときに入退室記録と映像を確認できます。
ただし、防犯カメラと入退室管理システムをシステム上で連携できるかは、使用している機器やシステムによって異なります。
既存の入退室管理システムがある場合は、メーカー名、製品名、型番などを確認してから施工業者へ相談してください。
書庫・重要書類の保管場所
契約書、顧客情報、人事関連書類などを保管する場所では、保管棚全体を細かく撮影するより、出入口や保管場所へのアクセスを確認できる位置を検討します。
誰が保管エリアへ出入りしたかを記録できれば、必要以上に従業員の作業を撮影する範囲を減らせます。
オフィスの防犯カメラは何台必要?
オフィスに必要なカメラ台数は、社員数や床面積だけでは決まりません。
出入口の数、フロア構成、サーバー室や書庫の位置などから考えます。
最初に、次の場所を確認してください。
- オフィスへの出入口
- 受付
- サーバー室
- 書庫
- 備品・機器の保管場所
- その他、立ち入りを制限している場所
そのうえで、各場所にカメラが本当に必要かを判断します。
たとえば、1つのカメラで受付とオフィス入口を同時に確認できるなら、別々に設置する必要がないこともあります。
一方、広い画角で全体を映した結果、人物や重要な対象が小さくなりすぎる構成では、必要な場面を確認できない可能性があります。
「何台置くか」より、「どの映像を残す必要があるか」から考えることが重要です。
入退室管理と防犯カメラの役割を分ける
オフィスの防犯対策は、防犯カメラだけで完結するものではありません。
それぞれの設備には役割があります。
| 対策 | 主な役割 |
|---|---|
| 防犯カメラ | 映像を記録し、状況を確認する |
| 入退室管理 | 入室できる人を制限し、入退室記録を残す |
| 電気錠・施錠 | 物理的に立ち入りを制限する |
| 受付・来訪者管理 | 外部から来た人を確認する |
| 社内ルール | 鍵、カード、映像などの管理方法を決める |
たとえばサーバー室では、防犯カメラだけを設置しても、入室自体を制限することはできません。
入退室管理や施錠によって立ち入りを制限し、防犯カメラで出入口を記録するという役割分担が基本です。
重要なのは、「どの設備を導入するか」ではなく、「どのリスクをどの設備で管理するか」を整理することです。
執務室にカメラを設置するときは目的と撮影範囲を決める
従業員が日常的に働く執務エリアへ防犯カメラを設置する場合は、何のために撮影するのかを明確にします。
たとえば、
- オフィス出入口への出入りを記録する
- 備品保管場所へのアクセスを確認する
- 夜間・休日の侵入を記録する
といった目的が考えられます。
一方、目的を定めずに執務室全体を常時撮影すると、必要以上に従業員の行動を記録する構成になります。
導入前には次の項目を決めてください。
- 防犯カメラを設置する目的
- 撮影する場所
- 撮影対象から外す場所
- 従業員への周知方法
- 録画映像を確認できる担当者
- 保存期間
- 映像を確認する条件
- 異動・退職時の閲覧権限変更
更衣室やトイレなど、プライバシー性が極めて高い場所は設置候補から外して考えます。
休憩スペースなども、設置目的との関係を確認し、必要以上に撮影しないようにします。
従業員による備品・商品などの持ち出しが課題となっている場合は、執務室全体を監視するのではなく、保管場所や搬出動線を中心に対策を検討します。
詳しくは、従業員による持ち出し対策と防犯カメラ|設置場所・周知・プライバシーも参考にしてください。
録画映像の保存・閲覧・管理ルールを決める
防犯カメラを設置する前に、録画映像を誰がどのように管理するのかを決めておきます。
| 項目 | 決める内容 |
|---|---|
| 保存期間 | 何日前まで映像を残すか |
| 録画方式 | 常時録画か動体検知録画か |
| 保存先 | レコーダー、HDD、クラウドなど |
| 閲覧権限 | 映像を確認できる担当者 |
| 閲覧条件 | どのような事象が起きたときに確認するか |
| 管理担当 | カメラ・録画機器・アカウントの管理者 |
| 書き出し | 映像を外部へ保存するときの手順 |
| 障害確認 | 録画停止や故障をどう確認するか |
保存期間は、長ければよいというものではありません。
トラブルに気付くまでの日数や、自社の確認業務に必要な期間を考えて設定します。
また、映像を誰でも閲覧できる状態にせず、業務上必要な担当者へ権限を限定してください。
テナントオフィスでは工事条件を先に確認する
テナントとして入居しているオフィスでは、自社所有の建物と同じように自由に工事できるとは限りません。
設置前に確認する項目は次のとおりです。
- 専有部と共用部の区分
- 壁や天井への穴あけ
- 天井裏への配線
- OAフロアを利用した配線
- 外壁や共用部への固定
- 電源の位置
- LAN配線を通せる場所
- 工事可能な曜日・時間
- 管理会社への工事申請
- 退去時の原状回復
特に、エレベーターホールや共用廊下などへカメラを設置したい場合は、管理会社やオーナーとの調整が必要になります。
また、専有部内の設置でも、壁や天井への穴あけや、共用部を通る配線が関係すれば、建物側のルールを確認する必要があります。
防犯カメラ業者へ相談する際は、物件がテナントであることと、管理会社から確認済みの条件を伝えてください。
配線ルート、電源、設置位置、既存の入退室管理との連携などは、現地条件を確認しないと判断できない項目があります。
自社のオフィス条件に対応できる施工業者を探したい場合は、希望条件を伝えたうえで業者紹介を受ける方法もあります。問い合わせ後、希望条件を確認するための電話連絡が入ることがあります。
オフィスの防犯カメラ費用が変わる条件
オフィスへの防犯カメラ設置費用は、カメラ本体の価格だけでは決まりません。
主に次の条件で変わります。
| 費用が変わる要因 | 主な内容 |
|---|---|
| カメラ台数 | 設置する台数 |
| カメラ仕様 | 画質、夜間撮影など |
| 配線 | 距離、天井裏、OAフロア、露出配線など |
| 電源 | 電源工事の必要性 |
| 録画機器 | レコーダーやHDD容量 |
| 保存期間 | 必要な録画容量 |
| 遠隔確認 | スマートフォン・PC設定 |
| 建物条件 | テナント工事、時間外工事など |
| 入退室管理 | 既存システムとの連携・調整 |
| 保守 | 点検や故障対応の契約内容 |
同じ4台の防犯カメラでも、カメラを取り付けるだけの工事と、長距離配線や電源工事を伴う設置では費用が異なります。
そのため、見積もりでは総額だけでなく、何が含まれているのかを確認します。
確認する項目は次のとおりです。
- カメラのメーカー・型番・台数
- 設置位置
- 配線工事
- 電源工事
- 録画機器・HDD
- 遠隔確認設定
- 初期設定
- 保証
- 保守
- 追加費用が発生する条件
社内で複数の提案を比較する場合は、各社へ伝える条件をそろえることが重要です。
オフィス防犯カメラの稟議で整理する項目
KWマップNo.51では、オフィスの総務・管理部門担当者が読者の中心です。
そのため、防犯カメラを「設置できるか」だけではなく、「社内でどう説明するか」も重要になります。
稟議や社内説明では、次の項目を整理します。
| 項目 | 記載する内容 |
|---|---|
| 導入目的 | 何を確認・記録するために設置するか |
| 背景 | 現在の課題や、記録が必要な理由 |
| 設置場所 | どこに設置するか |
| 撮影範囲 | 何を映し、何を映さないか |
| 台数 | 必要台数とその理由 |
| 費用 | 初期費用と継続費用 |
| 運用体制 | 誰が管理・閲覧するか |
| 保存期間 | 何日間録画を残すか |
| 従業員への配慮 | 周知方法、撮影対象外の場所 |
| 建物条件 | テナント工事や管理会社への確認 |
| 業者選定理由 | なぜその業者・提案を選ぶのか |
「なぜ必要なのか」と聞かれた場合
防犯カメラの抑止効果だけで説明するのではなく、「どの場面で映像記録が必要なのか」を示します。
たとえば、
- 来訪者の入退館を後から確認する必要がある
- サーバー室への出入りを記録したい
- 夜間・休日のオフィス出入口を記録したい
など、具体的な利用目的を示します。
「従業員を監視するのか」と聞かれた場合
撮影目的、撮影範囲、撮影対象から外す場所、映像を閲覧できる担当者を説明します。
「オフィス全体を監視する」ではなく、必要な場所へ撮影範囲を限定する方針を示します。
「費用は妥当なのか」と聞かれた場合
カメラ本体の金額だけではなく、配線、電源、録画機器、設定、保証、保守など、見積もりに含まれる範囲を整理します。
金額だけを比較するのではなく、自社が必要とする条件を満たしているかを確認します。
「導入後は誰が管理するのか」と聞かれた場合
管理責任者と閲覧権限者をあらかじめ決めます。
総務、施設管理、情報システムなど、複数部署が関係する場合は、それぞれの役割を明確にしてください。
業者へ相談する前に整理すること
防犯カメラ業者へ相談する前に、次の項目を整理しておくと具体的な提案を受けられます。
- 導入目的
- 守りたい資産・情報・設備
- 設置したい場所
- 優先順位
- 希望する台数
- 希望する録画期間
- 遠隔確認の必要性
- 入退室管理システムの有無
- 既存システムのメーカー・型番
- 電源・LAN環境
- テナントか自社所有か
- 管理会社へ確認済みの条件
- 工事可能な曜日・時間
- 導入希望時期
- 社内稟議の予定時期
すべてを決めてから相談する必要はありません。
特に、
- どこを撮影するか
- 何を記録するか
- どの程度保存するか
の3点が決まっていれば、現地調査で具体的な設置方法を検討できます。
よくある質問
Q.執務室に防犯カメラを設置できますか?
設置を検討することはできますが、撮影目的と範囲を明確にする必要があります。従業員の行動全体を監視する構成ではなく、防犯や資産管理などの目的に必要な場所へ範囲を絞り、周知、閲覧権限、保存期間などの運用ルールを決めてください。
Q.サーバー室には防犯カメラと入退室管理の両方が必要ですか?
役割が異なります。入退室管理は入室者の制限と記録、防犯カメラは映像による状況確認を担います。必要性は自社の管理方針によりますが、重要設備へのアクセスを管理する場合は両方を検討できます。
Q.入退室管理と防犯カメラを連携できますか?
対応できる機器はありますが、既存の入退室管理システム、カメラ、録画機器によって異なります。連携が必要な場合は、メーカー名や型番を施工業者へ伝えて確認してください。
Q.テナントオフィスでも防犯カメラを設置できますか?
設置できるかは物件の条件と工事内容によります。壁や天井への固定、配線、共用部への設置などは管理会社やオーナーへの確認が必要です。
Q.オフィスの防犯カメラは何台必要ですか?
社員数や床面積だけでは決まりません。出入口、受付、サーバー室、書庫など、記録が必要な場所から台数を積み上げます。1台で複数の目的を満たせるかも確認してください。
まとめ|オフィスの防犯カメラは総務・管理部門が運用まで設計する
オフィスへの防犯カメラ導入では、カメラを設置すること自体が目的ではありません。
次の順番で整理してください。
- 守る対象と導入目的を決める
- 受付・出入口・サーバー室など優先場所を決める
- 必要な画角から台数を考える
- 入退室管理や施錠との役割を分ける
- 従業員が映る場所では撮影目的と運用ルールを決める
- 保存期間と閲覧権限を決める
- テナントでは建物側の工事条件を確認する
- 費用と施工内容を確認する
- 稟議で目的・費用・運用体制を説明する
特に総務・管理部門が導入を担当する場合は、「どのカメラを買うか」だけでなく、誰が映像を管理し、どのようなときに確認するのかまで決めることが重要です。
次にすること
まずは、オフィスの平面図や見取り図を用意し、次の3種類に分けて設置候補を書き出してください。
- 人が出入りする場所
- 重要な情報・設備がある場所
- 物品や備品を管理する場所
そのうえで、既存の入退室管理、電源、LAN、テナント条件を確認します。
設置場所や配線、入退室管理との連携など、自社だけでは判断できない項目がある場合は、オフィスの施工条件に対応できる防犯カメラ業者へ相談する方法があります。問い合わせ後、希望条件を確認するための電話連絡が入ることがあります。
法人防犯カメラナビ|法人向け防犯カメラの導入・比較ガイド


