店舗、事務所、倉庫、工場などで盗難被害が発生すると、再発を防ぐために防犯カメラの設置や増設を急ぎたくなります。
しかし、被害直後に現場を片付けたり、既存の録画機を操作したりすると、被害状況や残っている映像を確認できなくなることがあります。
最初に行うのは、カメラを選ぶことではありません。現場の状態と既存映像を保存し、侵入経路、移動経路、持ち出し経路を整理することです。
この記事では、盗難被害を受けた法人・個人事業主の担当者に向けて、次の内容を解説します。
- 被害直後に記録すること
- 既存の録画映像を保存する方法
- 侵入経路と死角の整理
- 再発防止を目的とした設置場所と録画条件
- 現地調査を依頼する前にまとめる情報
防犯カメラは、盗難を完全に防ぐ設備ではありません。記録や抑止を補う設備として、照明、施錠、フェンス、入退室管理、社内ルールと組み合わせて運用します。
※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。掲載内容は執筆時点の情報をもとにしています。機器の仕様、工事内容、保証、サービスの利用条件は変更されるため、依頼前に事業者の公式情報をご確認ください。
盗難に気づいたら安全を確保して現場の状態を記録する
盗難に気づいたときは、自身と従業員の安全を優先してください。不審者が施設内に残っているおそれや、扉・窓・設備に危険があるときは、無理に中へ入らず、警察や施設管理責任者へ連絡します。
安全を確認した後は、片付けや復旧を始める前に、現場の状態を記録します。
被害直後に記録する項目
- 被害に気づいた日時
- 最後に異常がなかったことを確認した日時
- なくなった物品と数量
- 荒らされた場所
- 壊された扉、窓、鍵、フェンス
- 足跡、工具跡、落下物などの状態
- 不審な車両や人物に関する情報
- 当日の勤務者、来訪者、搬入業者
- 警備システムや入退室記録の有無
現場全体、出入口、被害箇所、破損箇所を複数の角度から撮影します。物を動かした後は元の状態を確認できないため、警察へ相談する場合は、その案内に従って対応してください。
既存の防犯カメラ映像を上書きから守る
既存の防犯カメラがある場合は、被害が発生したと考えられる時間帯の映像を確認します。
ただし、録画機の操作に慣れていない担当者が初期化、フォーマット、設定変更を行うと、必要な映像を失います。
既存映像を保存するときの注意点
- 録画機の現在日時を確認する
- 実際の時刻とのずれを記録する
- 対象となるカメラ番号を確認する
- 被害前後を含めて時間範囲を広く確認する
- エクスポート前に録画機の画面を撮影する
- 元の録画データを削除しない
- 初期化やフォーマットを行わない
- 必要な映像が上書きされる日時を確認する
映像をUSBメモリーなどへ書き出す場合は、元データを残したまま複製を作成します。機種によって操作方法や再生ソフトが異なるため、不明なときはメーカー、保守会社、設置業者へ連絡してください。
録画が残っていない、HDDエラーが出ている、日時が大きくずれているときは、操作を増やさず、現在の表示を記録して専門業者へ相談します。
侵入・移動・持ち出しの経路を整理する
再発防止の設置場所を決めるには、今回の被害で人や物がどのように移動したのかを整理します。
| 確認する経路 | 主な確認場所 |
|---|---|
| 敷地への侵入経路 | 正門、裏口、フェンス、隣接地、駐車場 |
| 建物への侵入経路 | 出入口、窓、シャッター、搬入口、非常口 |
| 建物内の移動経路 | 通路、階段、売場、事務所、作業場 |
| 被害箇所 | レジ、金庫、在庫置場、資材置場、機械設備 |
| 持ち出し経路 | 搬入口、駐車位置、門扉、道路への出口 |
被害箇所だけを撮影しても、侵入した人物の移動や持ち出した方向を確認できないことがあります。
「敷地へ入る場面」「建物へ入る場面」「被害箇所へ移動する場面」「敷地から出る場面」を分けて考えると、設置場所の役割が明確になります。
今回映らなかった場所と死角を確認する
既存カメラがある場合は、今回の侵入経路や被害箇所が映っていたかを確認します。
映っていなかった場所は、次の3つに分けて整理してください。
カメラの画角外だった場所
建物の裏手、フェンス沿い、搬入口の脇、階段下など、カメラの撮影範囲から外れている場所です。
カメラを増設するだけでなく、既存カメラの向きや設置高さを変える方法も検討します。
物や車両で隠れていた場所
資材、商品棚、コンテナ、駐車車両、看板、植栽などが画面を遮っている状態です。
日中は見えていても、車両の駐車後や荷物の搬入後に死角が生まれることがあります。通常の営業状態と、夜間・休業日の両方で確認してください。
暗くて状況を判別できなかった場所
映像自体は残っていても、照明不足、逆光、ヘッドライトの反射などで人物や車両の状況を確認できないことがあります。
夜間映像は、設置前の昼間だけでは判断できません。現地調査では、夜間の明るさ、照明の位置、反射する壁面や看板も確認します。
再発防止を目的とした設置場所を決める
防犯カメラの設置場所は、台数から決めるのではなく、記録する目的から決めます。
敷地全体の出入りを確認するカメラ
門扉、駐車場出入口、敷地への進入路を広く撮影します。
人や車両がどの方向から入り、どの方向へ出たのかを確認する役割です。
建物への侵入を確認するカメラ
正面入口、裏口、搬入口、窓、シャッター周辺を撮影します。
扉の開閉や侵入方法を確認できる画角を検討します。
被害箇所を重点的に記録するカメラ
レジ、金庫、在庫、資材、工具、機械設備などを記録します。
広い範囲を映すカメラとは別に、重要箇所を詳細に記録するカメラを配置します。
持ち出し経路を確認するカメラ
荷物を運ぶ通路、搬入口、駐車位置、敷地出口を撮影します。
被害箇所だけではなく、物品が施設外へ運び出されるまでの動線を記録します。
画角・照明・保存期間をまとめて設計する
設置場所を決めても、映像の品質や保存期間が足りなければ、必要な場面を確認できません。
画角の役割を分ける
1台ですべてを記録しようとすると、広範囲は映っても人物や物品の状況を確認できないことがあります。
全体の動きを確認するカメラと、出入口・被害箇所を重点的に記録するカメラを分けて設置します。
夜間照明を見直す
夜間の記録には、カメラの暗所性能だけでなく、照明の位置と明るさが関係します。
センサーライトを追加するときは、照明がカメラへ直接入り、映像が白くならない位置を検討してください。
被害の発覚時期に合わせて保存期間を決める
盗難が発生してから数日後に気づく施設では、保存期間が短いと該当映像が上書きされます。
カメラ台数、画質、録画方式、保存日数をまとめて設計します。詳しくは、防犯カメラの録画期間は何日必要?をご確認ください。
録画映像の管理者を決める
撮影目的、閲覧権限、保存期間、映像を取り出す手順を社内で決めます。
従業員、来訪者、取引先、通行人が映る場合は、必要な範囲を超えて撮影しないよう画角を調整します。法人のプライバシー対応は、防犯カメラ設置前に確認するプライバシー対応で整理しています。
既存設備を流用できるか確認する
既存のカメラ、レコーダー、配線をそのまま使用できるとは限りません。
次の情報を整理してください。
- カメラとレコーダーのメーカー・型番
- カメラ台数
- アナログカメラかIPカメラか
- 同軸ケーブルかLANケーブルか
- レコーダーの空きチャンネル
- HDD容量と現在の保存期間
- 屋外配線の劣化
- メーカーの保守・修理対応
- 過去の故障や映像欠落
既存配線を活用できれば工事範囲を抑えられます。ただし、規格、劣化、必要な画質、増設台数が合わないときは、配線やレコーダーの更新が必要です。
賃貸・テナント・共用部では工事条件を確認する
賃貸店舗、テナントオフィス、マンション、ビル共用部では、建物への穴あけ、屋外配線、共用電源の使用について、管理会社やオーナーの承諾が必要になることがあります。
見積もり依頼前に、次の内容を確認します。
- 賃貸借契約の工事条項
- 壁や天井への穴あけ
- 共用部へのカメラ設置
- 配線ルート
- 電源の使用範囲
- 原状回復の条件
- 工事可能な曜日と時間
- 管理会社へ提出する図面や申請書
確認が遅れると、設置位置、配線、工事日程を変更することがあります。
被害状況を踏まえた設置方法を業者へ相談する
盗難後の防犯カメラ設置では、今回の被害箇所だけでなく、侵入経路、持ち出し経路、死角、夜間照明、既存設備をまとめて確認します。
屋外、高所、長距離配線、電源新設、既存レコーダーへの増設が関係するときは、現地調査で工事条件を決めます。
法人・個人事業主が、盗難後の新設・増設・配置変更を相談できる防犯カメラ業者を探す方法があります。
問い合わせ後、被害状況や設置条件を確認する電話連絡が入ることがあります。
業者へ相談する前に整理する情報
現地調査を依頼するときは、次の情報をまとめてください。
- 施設の種類と所在地
- 被害が発生した日時
- 盗難された物品
- 侵入したと考えられる場所
- 移動・持ち出し経路
- 既存カメラで映らなかった場所
- 夜間照明の状態
- 既存カメラの台数
- カメラ・レコーダーのメーカーと型番
- 保存期間
- 電源とネットワークの位置
- 賃貸・共用部の工事条件
- 希望する工事時期
被害状況の写真や施設図面があれば、相談時に共有します。現場を確認せず、台数と価格だけで決めると、必要な経路が映らない設計になることがあります。
防犯カメラ工事の進め方は、防犯カメラ設置の流れ|相談から運用開始までも参考にしてください。
カメラ以外の再発防止策も見直す
防犯カメラだけで盗難対策を完結させず、被害の原因に合わせて設備と運用を見直します。
- 扉・窓・シャッターの施錠
- フェンスと門扉
- センサーライト
- 警報装置
- 入退室管理
- 鍵の保管方法
- 資材・工具・現金の保管場所
- 従業員と退職者の権限管理
- 夜間巡回
- 異常発生時の連絡手順
今回の被害で突破された場所、確認が遅れた理由、映像が残らなかった理由をそれぞれ整理し、設備と運用の両面から対策します。
よくある質問
盗難に気づいたら、最初に何をすればよいですか?
安全を確認し、現場を片付ける前に被害状況を写真と記録で残します。既存の防犯カメラがあるときは、対象時間帯の映像が上書きされないよう保存してください。警察へ相談する場合は、その案内に従って対応します。
防犯カメラを設置すれば盗難を防げますか?
防犯カメラだけで盗難を完全に防ぐことはできません。記録と抑止を補う設備として、照明、施錠、フェンス、警報装置、入退室管理と組み合わせます。
被害箇所だけにカメラを設置すればよいですか?
被害箇所だけでは、侵入経路や持ち出し経路を確認できません。敷地入口、建物入口、移動経路、被害箇所、敷地出口を分けて検討します。
既存のカメラや配線は流用できますか?
機器の規格、配線の種類と状態、レコーダーの空きチャンネル、必要な画質によって決まります。型番と配線状況を確認し、現地調査で判断してください。
賃貸店舗やテナントでも設置できますか?
設置自体は検討できますが、穴あけ、配線、共用部、電源の使用について、管理会社やオーナーの承諾が必要になることがあります。賃貸借契約と工事条件を見積もり前に確認してください。
次にすること
盗難被害後は、次の順番で進めます。
- 自身と従業員の安全を確保する
- 現場を片付ける前に被害状況を記録する
- 既存の録画映像を上書きから保存する
- 侵入・移動・持ち出しの経路を整理する
- 今回映らなかった場所と夜間の死角を確認する
- 画角、照明、保存期間、映像管理を設計する
- 既存設備と賃貸・共用部の工事条件を整理する
- 現地調査を依頼し、設置場所と工事内容を決める
- 施錠、照明、入退室管理など、カメラ以外の対策も見直す
施工会社を比較するときは、価格だけでなく、現地調査、画角設計、夜間撮影、録画容量、保守対応を確認してください。防犯カメラ設置業者の選び方で、比較する項目を解説しています。
法人防犯カメラナビ|法人向け防犯カメラの導入・比較ガイド


