アナログカメラからIPカメラへ入れ替える方法|配線・録画・費用の確認点

トラブル対応

古いアナログ防犯カメラを使用していて、「画質を見直したい」「レコーダーの更新時期を迎えた」「今後のカメラ増設に備えたい」と考え、IPカメラへの入れ替えを検討する法人もあります。

ただし、アナログカメラからIPカメラへの更新は、カメラ本体だけを交換する工事ではありません。

現在の同軸ケーブルを活用するのか、LANケーブルを新設するのか。DVRをNVRへ交換するのか。PoEで給電するのか。既存設備をどこまで残すのか。

これらの条件によって、必要な機器、工事範囲、費用、切替中の録画停止時間が変わります。

この記事では、法人・個人事業主の管理担当者に向けて、次の内容を解説します。

  • アナログカメラとIPカメラの構成の違い
  • 既存の同軸ケーブルを活用する方法
  • LANケーブルを新設する場合の確認ポイント
  • DVR・NVR・録画容量の考え方
  • IP化で必要になるネットワーク管理
  • 入れ替え費用を比較するときの項目
  • 録画停止を考慮した切替手順

IPカメラへの更新が適しているかどうかは、現在の設備と今後の運用によって異なります。

アナログ設備を残したほうが合理的なケースもあるため、「IP化ありき」ではなく、必要な機能と工事条件から判断してください。

※本記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれます。掲載内容は執筆時点の情報をもとにしています。機器の仕様、対応規格、工事条件、保証、サービス内容は変更されるため、導入前にメーカーや事業者の公式情報をご確認ください。

結論|最初に決めるのはカメラではなく配線と録画構成

アナログ防犯カメラからIPカメラへ入れ替えるときは、カメラの機種を選ぶ前に次の3点を確認します。

  1. 既存配線をどこまで活用するか
  2. 録画機器をどの構成へ変更するか
  3. 入れ替え工事中に録画を止められる時間

現在の同軸ケーブルを活用できれば、新たな配線工事を減らせることがあります。

一方、LANケーブルを新設すれば、PoEを利用した構成や将来の増設を含めて設計できます。

また、すべてを一度にIP化するのではなく、対応機器を使用して段階的に更新する方法もあります。

そのため、入れ替え方法を「同軸流用かLAN新設か」だけで決めず、既存設備と今後必要な機能をまとめて検討することが重要です。

アナログカメラとIPカメラの違い

法人向け防犯カメラでは、一般にアナログ系のカメラとIPカメラで設備構成が異なります。

項目アナログ系カメラIPカメラ
主な映像配線同軸ケーブルLANケーブル
録画機器DVRなどNVRなど
給電電源線を別に用意する構成などPoEや個別電源
ネットワーク必須ではない構成もあるネットワーク設計が必要
運用管理レコーダー中心IPアドレス・アカウント管理なども必要
増設DVRの対応チャンネルなどを確認NVR・スイッチ・帯域・給電容量などを確認

PoEは、LANケーブルを利用して通信と電力供給を行う方式です。

対応するIPカメラとPoEスイッチなどを組み合わせることで、カメラまでの電源配線を別に用意しない構成を採用できます。

ただし、すべてのIPカメラが同じ給電条件で動作するわけではありません。

カメラ側が必要とするPoE規格や消費電力と、スイッチ側の1ポートあたりの供給能力、全体の給電容量を確認する必要があります。

IPカメラに替えれば必ず高画質になるわけではない

IPカメラには高解像度の製品がありますが、「IPカメラへ交換すれば必ず必要な映像を記録できる」とは限りません。

実際の映像は、

  • カメラの解像度
  • レンズと画角
  • 被写体までの距離
  • 夜間照明
  • 逆光
  • 設置高さ
  • 録画設定

などの影響を受けます。

また、既存のアナログHD方式が現在の用途を満たしているなら、同じ方式でカメラやレコーダーを更新する選択肢もあります。

IP化は目的ではなく、必要な画質、増設、遠隔管理、録画方法を実現するための手段として検討してください。

アナログからIPカメラへ入れ替える主な方法

既存のアナログ設備からIPカメラへ移行するときは、主に次の方法を検討します。

既存の同軸ケーブルを活用する

既存同軸を活用し、対応する変換機器を使用してネットワーク通信を行う方法です。

建物内に同軸ケーブルがすでに敷設されており、新しいLAN配線工事が難しい施設で運用されています。

ただし、既存配線を残せるからといって、そのままIPカメラを接続できるわけではありません。

確認するのは次の項目です。

  • 使用している同軸ケーブルの状態
  • 配線距離
  • 中継・分岐の有無
  • 端子の状態
  • 使用する変換機器
  • 通信条件
  • カメラへの給電方法

変換機器を追加すると、設備構成と障害時の確認箇所も増えます。

既存同軸を残すメリットと、新しくLANを敷設する費用を比較して判断してください。

LANケーブルを新設する

既存の同軸設備から切り離し、新しくLANケーブルを敷設してIPカメラを接続する方法です。

一般的には、

IPカメラ

LANケーブル

PoEスイッチなど

NVRまたはネットワーク

という構成を検討します。

LAN新設では、次の項目を確認します。

  • 配線経路
  • 配線距離
  • 天井・壁内への配線可否
  • 屋外区間の保護
  • PoE給電
  • スイッチ設置場所
  • NVR設置場所
  • ネットワーク構成

現在だけでなく、将来のカメラ増設も考慮して設計することが重要です。

段階的にIPカメラへ更新する

施設全体を一度に更新せず、重要度の高い場所から順番にIP化する方法もあります。

たとえば、

  • 出入口
  • レジ周辺
  • 搬入口
  • 資材置き場

などから先に更新する方法です。

アナログカメラとIPカメラを併用できる機器構成もありますが、すべてのレコーダーが対応しているわけではありません。

既存レコーダーの型番と対応仕様を確認したうえで判断してください。

既存配線を流用できるかは現地で確認する

既存の同軸ケーブルをIP化後も利用できるかは、配線が残っているだけでは判断できません。

主に確認するのは次の項目です。

  • ケーブルの種類
  • 配線距離
  • 配線経路
  • 中継・分岐
  • 端子
  • 屋外区間
  • 腐食や水分侵入
  • 電源の取り方
  • 変換機器の設置場所

特に、天井裏、地中配管、屋外、建物間を通っている配線は、図面だけで状態を判断できないことがあります。

配線状態によっては、

  • 全区間を流用する
  • 一部だけ新設する
  • LANへ全面的に変更する

という複数の案が考えられます。

「既存同軸を必ず使う」という前提で工事方法を決めると、現地調査後に工事内容が変わることがあります。

既存配線を残せるか、新しくLANを敷設する必要があるか分からない場合は、現在の設備と現場条件を確認できる防犯カメラ業者へ相談する方法があります。

法人・個人事業主向けのサービスです。問い合わせ後、現在の設備や施工条件を確認する電話連絡が入ることがあります。

設置条件に合う防犯カメラ業者を探したい方へ

設置条件に合う防犯カメラ業者を探したい方はこちら

DVRからNVRへ変更するときに確認すること

アナログ系のカメラでDVRを使用している場合、IPカメラへの更新に伴って録画機器も見直します。

IPカメラではNVRを使用する構成が代表的ですが、クラウド録画や複数方式を組み合わせる構成もあります。

確認するのは次の項目です。

  • 接続するカメラ台数
  • 今後の増設予定
  • 必要な保存日数
  • 解像度
  • フレームレート
  • ビットレート
  • 常時録画かイベント録画か
  • 遠隔閲覧の有無

IPカメラへ更新して解像度を上げると、録画データ量も増えることがあります。

現在と同じHDD容量を使用しても、同じ期間を保存できるとは限りません。

「何TB必要か」から決めるのではなく、まず「何日分の録画を残す必要があるか」を決め、その条件から容量を設計します。

IP化ではネットワーク設計も必要になる

IPカメラへの更新では、カメラ設備だけでなくネットワーク側の確認も必要です。

確認する主な項目は次のとおりです。

  • カメラ台数
  • 通信量
  • PoEスイッチ
  • ネットワーク構成
  • IPアドレス管理
  • 遠隔閲覧
  • アカウント権限
  • パスワード管理
  • ファームウェア更新

既存の業務ネットワークへ接続する場合は、防犯カメラの通信が社内システムへ与える影響も確認します。

施設によっては、防犯カメラ用のネットワークを分ける構成も検討します。

誰が映像を見られるか決める

IP化を機に、アカウントと閲覧権限も整理してください。

たとえば、

  • ライブ映像を見る担当者
  • 過去映像を再生する担当者
  • 映像を書き出す担当者
  • 設定を変更できる管理者

を分ける方法があります。

従業員や来訪者が映る施設では、撮影目的、閲覧範囲、保存期間も社内ルールとして整理します。

入れ替え費用は機器代だけで比較しない

アナログカメラからIPカメラへの更新費用は、カメラ本体だけでは決まりません。

見積もりでは次の項目を分けて確認してください。

項目主な内容
カメラ台数、解像度、屋内・屋外仕様
録画設備NVR、HDDなど
ネットワークPoEスイッチ、必要な周辺機器
既存配線流用調査、端子処理など
新規配線LANケーブル、配管、貫通など
設置工事壁面、天井、高所など
撤去旧カメラ、DVRなど
設定録画、ネットワーク、遠隔閲覧
保守保証、点検、故障時の対応

同軸を活用する案とLANを新設する案では、機器構成と工事内容が異なります。

総額だけを比べるのではなく、どこまで既存設備を残すのか、どこを新設するのかを確認してください。

旧レコーダーと録画データの扱いを決める

DVRやHDDを撤去する前に、必要な録画データが残っていないか確認します。

事故、盗難、社内トラブルなどに関係する映像がある場合は、交換作業を始める前に保存方法を決めてください。

正常に再生できる必要映像がある場合は、複製を書き出して保管します。

一方、必要な映像が存在するはずなのに再生できない、HDDが認識されないといった状態では、初期化やHDD交換を先に行わないことが重要です。

また、旧レコーダーやHDDを廃棄するときは、保存データの消去・処分方法も確認してください。

録画停止時間を考慮して切替工程を決める

設備を入れ替える間は、一部または全部の録画が停止することがあります。

法人設備では、工事費だけでなく「どの時間帯に録画が止まるか」も確認してください。

一般的には次の流れで進めます。

  1. 現在の機器構成を確認する
  2. 配線・電源・設置場所を現地調査する
  3. 入れ替え方式を決める
  4. 必要な保存期間と録画構成を決める
  5. ネットワーク・PoE構成を決める
  6. 旧録画データの扱いを決める
  7. 工事時間と録画停止時間を決める
  8. 新設備へ切り替える
  9. 画角・録画・遠隔閲覧を確認する
  10. 担当者へ引き渡す

営業時間中に録画を止められない店舗や、24時間稼働する倉庫・工場では、工事時間帯や切替順序を業者へ事前に伝えてください。

重要なカメラだけ先に切り替えるなど、現場条件に合わせた工程を検討します。

施設別に確認するポイント

店舗

店舗では、営業中の工事と録画停止時間を確認します。

出入口やレジ周辺など重要なカメラをどの順番で切り替えるかも決めてください。

天井内へ新しいLANを敷設するのが難しい場合は、既存配線を活用できるか確認します。

オフィス

社内ネットワークとの接続方法を確認します。

情報システム部門がある場合は、IPアドレス、ネットワーク分離、アカウント管理について事前に調整してください。

倉庫・工場

広い施設では、長距離配線、高所作業、PoEスイッチの配置などを確認します。

将来的なカメラ増設も含めて配線と録画機器を設計してください。

駐車場・屋外

屋外では、電源、配線、防水、夜間の照明環境を確認します。

ナンバープレートや人物の記録を目的とする場合でも、実際に必要な情報を記録できるかは距離、角度、速度、照明などで変わるため、現地映像を前提に確認します。

マンション・施設

共用部では、管理会社、オーナー、管理組合などへの確認が必要になることがあります。

撮影範囲と映像の管理方法も合わせて整理してください。

古い設備をどこまで残すか判断する

アナログからIPカメラへ更新するときは、すべての既存設備を撤去するとは限りません。

配線、電源、設置位置など、状態と規格が合えば活用できる部分があります。

一方、配線劣化や今後の増設を考えると、新しく敷設したほうがよい箇所もあります。

古い設備の流用と更新の考え方は、古い防犯カメラの入れ替え費用|既存配線・レコーダーを流用できる条件で解説しています。

よくある質問

既存の同軸ケーブルを使えば工事費を抑えられますか?

新しい配線工事を減らせれば、工事費を抑えられることがあります。

ただし、変換機器、端子処理、配線補修などが必要になると、LAN新設との差が小さくなることもあります。

現地調査後に両方の案を比較してください。

カメラだけIPカメラへ交換してDVRはそのまま使えますか?

一般的なDVRのみの構成では、IPカメラをそのまま接続できるとは限りません。

IPカメラ対応機能を持つレコーダーなどもあるため、既存機器の型番と仕様を確認してください。

IPカメラへ替えると保存期間は短くなりますか?

必ず短くなるわけではありません。

カメラ台数、解像度、ビットレート、フレームレート、録画方法、HDD容量によって保存期間は変わります。

必要な保存日数を先に決め、その条件から容量を算出します。

IP化すれば遠隔から必ず映像を確認できますか?

IPカメラだから自動的に社外から閲覧できるわけではありません。

遠隔閲覧に対応する機器やサービス、ネットワーク設定、認証方法などが必要です。

アナログカメラをすべて一度に交換する必要がありますか?

設備構成によっては段階的に更新できます。

ただし、既存レコーダーと新しいIPカメラの対応状況、新旧機器の管理方法を確認する必要があります。

次にすること

アナログ防犯カメラからIPカメラへの入れ替えを検討するときは、次の順番で整理します。

  1. 現在のカメラ台数を確認する
  2. カメラとレコーダーのメーカー・型番を確認する
  3. 同軸ケーブルなど既存配線の状況を確認する
  4. IP化する目的を決める
  5. 必要な保存期間を決める
  6. 今後のカメラ増設予定を整理する
  7. 工事中に録画を止められる時間を確認する
  8. 既存配線活用・LAN新設・段階更新の方法を比較する
  9. 現地調査をもとに施工方法を決める

アナログからIPカメラへの更新方法は、既存配線、建物構造、電源、ネットワーク、今後の増設計画によって変わります。

自社だけで方式を決めるのではなく、現在の設備を確認したうえで、既存設備を活用する案と新しい構成へ変更する案を相談してください。

法人・個人事業主向けに、防犯カメラの入れ替えや配線方法について相談できる業者を探す方法があります。

問い合わせ後、既存設備や現地条件を確認する電話連絡が入ることがあります。

設置条件に合う防犯カメラ業者を探したい方へ

設置条件に合う防犯カメラ業者を探したい方はこちら

法人防犯カメラナビ|法人向け防犯カメラの導入・比較ガイド